和吉式マリアージュ(基本編)STEP1.2.3
2018年 04月 26日
<はじめに>
マリアージュとは?
料理とワインが口の中で出会うことで、より美味しく感じる味覚反応を「マリアージュ」と言います。複数の音階を自由に組合せてもハーモニーは生まれないように、料理とワインのマリアージュにもちょっとした関係があります。そこを具体的に易しくご紹介します。
<STEP1>
ワインと美味しい関係になれる料理となれない料理
<STEP2>
白ワインと赤ワイン、どっち?
<STEP3>
白ワインの種類を絞り込む
赤ワインの種類を絞り込む
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<STEP1>
ワインと美味しい関係になれる料理となれない料理
「パルメザンチーズまたはニンニク」が使われている料理か? またはトッピングしても美味しい料理か? YESであればワインは合います。突飛な例を挙げてみると、ラーメンにはニンニクが使われている(またはトッピングしても美味しい)のでワインは合わせ易いですが、蕎麦はどうでしょう? パルメザンチーズもニンニクも使っていませんし、トッピングしても美味しそうではありませんのでワインは合わせにくいです。家庭料理でも中華でもフレンチでも、色々な料理で想像してみてください。
<STEP2>
白ワインまたは赤ワイン、どっち?
STEP1を通過した料理に今度は「レモンまたはクリームチーズ」を添えても美味しいでしょうか?それとも「山葵または唐辛子」を添えた方が美味しいでしょうか? 前者なら白ワイン、後者なら赤ワイン、両方なら白も赤も合わせられます。どちらも添えられない料理はSTEP1を通過しないはずですが、いかがでしょうか? 料理の味付けと調味料がワインとの相性を決定します。素材とワインの相性よりも影響大です。
お寿司を例に考えてみましょう。大トロ、アジ、サーモン、ヒラメ… ネタは様々ですが、"握り" で山葵醤油を付ける場合は赤ワインが合い易いです。山葵醤油を付けない、または握らない"あて"の場合は、上記の調味料(レモン、クリームチーズ、山葵、唐辛子)をトッピングしたらどうかを想像して白か赤かを判断します。
※ 魚料理でも肉料理でも白ワインが合うか赤ワインが合うかは料理の味付け次第です。
<STEP3-1>
絞りこむ‐白ワイン編
ワインの個性は様々な要素(ブドウ品種、生産地、生産者、ヴィンテージ等)で構成されていますが、中でも「産地」の気候と発酵工程の違いは、白ワインの酸味の種類と量を決定し、この酸味の構成が料理とのマリアージュを大きく左右します。
例えば、八宝菜にお酢(酢酸)は合いますが、レモン(クエン酸)は合いません。アサリやムール貝の酒蒸しにはレモンは合いますがお酢は合いません。生牡蠣やカニの場合は、お酢でもレモンでも合います。
お酒の中で最も酸味が強いアルコール飲料であるワインは、料理に対してお酢のような働きをするものやレモンのような働きをするもの等がある為、ワインによって料理が更に美味しくなったり、あまり変化しなかったり、不味くなったりする訳です。
先ず、酸味構成が多彩なフランスの白ワインを例に、以下の3タイプに大別します。
Aタイプ. 爽やかな酸味の白ワイン… ロワール、リーズナブルなボルドー 等
Bタイプ. 柔らかい酸味の白ワイン… ブルゴーニュ、アルザス、北ローヌ、樽醸造したボルドー 等
Cタイプ. 甘旨い酸味の白ワイン… 南ローヌ以南 等
次に、STEP3で考える料理の味付け(またはトッピング)は以下の3種類です。これまでと同じように、実際にこれらの味付けがされているか?またはどのトッピングが合いそうか?を想像し、STEP2で「レモンまたはクリームチーズ」に分類した料理を以下の①②③に分類し直すと白ワインが絞り込めます。
①「レモンバター」… Aタイプの白ワイン
②「ニンニクバター」…Bタイプの白ワイン
③「オリーヴオイル&レモン」… Cタイプの白ワイン
※ 家庭料理では、実際に①②③をほんの少しでも使うと更に美味しいマリアージュになります。勿論、STEP1の「パルメザンチーズとニンニク」は白ワイン全般と良い相性です。
<STEP3-2>
絞りこむ‐赤ワイン編
白ワインと異なり、どの産地でも乳酸発酵を行う赤ワインは、酸味構成に大きな違いはありません。また、 白ワインはブドウを搾ってから果汁だけをアルコール発酵させますが、赤ワインはブドウを潰して皮も種も一緒にアルコール発酵させてから搾ります。その皮や種に含まれる様々なフェノールやアントシアニンが赤ワインの味わいを大きく左右する為、ブドウ品種の特徴がそのまま赤ワインの個性となります。
STEP2で「山葵または唐辛子」に分類出来た料理は、野菜サラダでも魚料理でも、白ワインより赤ワインの方が合いやすいですが、肉料理の場合は、肉の種類と代表的なブドウ品種の相性を覚える事で、赤ワインをもう一段階絞り込めます。
●ピノノワール… 肉全般。特に鳩、鴨、鶉 等。
●ガメ… 肉全般。(青魚とも合います)
●グルナッシュ… 肉全般。特にタイム、オレガノ、ローズマリー、ネズの実等を使った煮込み料理は、肉に限らず魚でも野菜でも合います。
●カベルネソーヴィニヨン… 赤身肉全般。特に牛ロース肉のステーキ。
●メルロー… 赤身肉全般。特に牛肉。
●シラー… 赤身肉全般。鹿肉。
※ 家庭料理では、赤ワイン全般と相性が良い 山葵、唐辛子、黒コショウ、ニンニク、味噌、パルメザンチーズを実際に使えば更に美味しいマリアージュになります。
<おわりに>
紅茶とクッキー、コーヒーとチョコレート、抹茶と甘納豆、牛乳とアンパン…また、濃い紅茶に牛乳を入れたり、コーヒーは生クリームだったり、薄い紅茶にはレモンを浮かべたり等、かなり高度なマリアージュを私達は普段から「無意識」にやっていたりもします。そして、無意識に繰り返している組合せは理にかなっていたりします。和吉式マリアージュは、この「無意識」をなるべく解りやすく整理したものです。とても大切な基本は、ワインに含まれる「酒石酸・リンゴ酸・乳酸」の特徴と料理の味付けを合わせることです。理論的にも味覚的にも頷けるこの方法は一部の間では昔から注目されていますが、あまり広く活用されていないようで残念です。
和吉式マリアージュは、一般家庭でもレストランでも、料理のジャンルを問わずに使えます。ぜひ皆様の美味しいワインライフにお役立てください。
このコンテンツは、2009年11月に投稿しました個人ブログを再編集したものです。2018年 4月 芥川 淳
・
by wakichi-koubou
| 2018-04-26 05:52